かみむらさんの独り言

面白いことを探して生きる三十路越え不良看護師。主に読書感想や批評を書いています。たまに映画やゲームも扱っています。SFが好き。

無職中にワンピース全巻読んだのでだらだら語るぞ(ネタバレまくり注意)

4月から新しい仕事をしています。かみむらさんです。

相変わらず不良看護師さんをやっているのだけれども、縁あって少し毛色の違う業界の会社に勤めることとなり、毎日が不安いっぱい!ストレスフルフル!

早く職場と人間関係に慣れて、まあこれくらいならできるかな、くらいになってくると良いなあ。雨の日が最悪な仕事なので、なるべく雨が降らないよう毎日祈っとります。

ああ、無職のリラックスした時間がすでに懐かしい……。

とはいえ、仕事しないならしないで病んでいくタイプなので、今回の2か月弱の無職はいい感じに人生のお休み期間になったのかなと思います。

旅行も行けたし、人とも遊んだし、飲んだし、映画も見たし、動物園もたくさん行ったし……。

小説を全然読んでないのが心残りですけど(さすがに数冊は読んでるけど)、それには如何ともし難い理由があり……。

なんたって、1ヵ月ちょっとでワンピースを全巻読んだもんで。1巻から、105巻まで。

漫画を本カウントしてよいなら、そこそこの読書量ではないでしょうか。

流石に全巻購入するお金はなかった(実家に30巻くらいまであるし)ので、漫画喫茶で途中まで読み、61巻から105巻は購入しました。

いやー……

面白かったね!!(小並感)

今の子どもたちがジンベエの話とかするわけがわかったよ!やりたいよね海流一本背負い

最近ポリコレについて考えていたわけだけど、あれだけオカマやら過剰なボンキュボンを描きながらも、それを気にさせないだけの配慮があるというのは、腕が良い……という他ないなと。

しかも1巻から読んでいったので、時代を経て、さりげなく価値観をアップデートしていっているのが、尾田先生、人生何週目かな?という感じになる。

流石に今のゾロももう、「女だぞ」はやらない感じだよね(空島編/ちょうど20年前エピソード)

当時はゾロかっけえのう……と思った思い出があるけど、今読むと自分のフェミメーターに引っかかってドキッとしますな。

ただ、そこから、2年後くらいのウォーターセブン編の時点で、サンジの女を蹴らない理由が「そう叩きこまれて育ったから」なので、尾田先生自身、既存の価値観を疑う方向性は、もともとあったのかもしれないよね。

ここから、比較的新しい(といっても7,8年前)ホールケーキアイランド編の「恐竜の時代からの流儀だ」まで来ると、価値観の変化に合わせつつも、昭和の頑固親父も一つの多様性というのを示しているようにも思えるので、割と素直に読める。

ワノ国編まで来ると、LGBTQが自然にキャラクターに反映されているし、それをポリコレ配慮で人気取りがどうのこうのとか言い出す輩もいそうだけれども、私なんかは、ここまでの人気作家が素直に世界の価値観の変化を取り入れるというのは、すげえことだなと思う。

面白さは犠牲にしてないしな。

初期のワンピースの方が面白いとか言ってる人はとりあえず1巻から全巻読むと良いぞ。面白さも完成度も、実はそんなに変わってないよ。一つのエピソードが長くなって、描写が増えて複雑なやり取りが増えただけで、割とずっと同じことやってる。

初期ワンピースは完全にアーロン編が頭一つ抜けた傑作だと思っているけれども、ここでやろうとしていたことは、魚人島編やドレスローザ編で色々アップデートしてもう一回やってるかんね。

 

ワンピース読み返そう、というのは、20年以上前に死ぬほどハマっていたのをふと思い出したというのがある。

まあなんたって、ゾロサンが好きでね!!(腐ってた理由)

懐かしく思い出すわけです。

空島編でサンジにすね毛が描かれたときの業界の荒れようを……!いやあ、私自身、衝撃だったわけですよ。

当時はワンピースもゾロサンも業界ではかなりの大きな島でな……(といっても田舎の果てにいたので実際にはわからないけど)

尾田先生はアンチ腐女子だなんていう話が流れたりしてな。SBSの「サンジのすね毛止めてください」のお便り欄の回答からも、ひとしきり荒れてたな。

この当時の反響、わかってくれる人いねえかなあ~なつかしいな~

と、懐かしんでいたら、ワンピースフィルムREDでのローのすね毛で、また似たような有様になっていて(業界的に腐か夢かわからないけど)笑った。

時代は繰り返す。

とまあ、別に腐った話がしたいわけではないのですが、私は、10代のころは思い出したくもないくらいに不遇な時代だったのだけど、ワンピースを楽しく読めたことだけはよかったなあと今更思ったのです。

サンジが大好きでね。

私が手料理を作って食べさせることが最上級の愛だと思い込んでいるのも、割とサンジの影響だと思うのですよ。一緒に食べるというよりは、食べさせる方にどうしても寄っちゃうんだよね。

読み返してた時、バラティエ編のギンに賄い持ってきたところの「クソうめェだろ?」でやっぱり泣いちゃったからな。

私は優しい人が好きなんですよ、根本的に。

サンジさんは幼い自分にとって、ある種マザーテレサみたいな感じだったのね。

でもすごく危ういキャラクターだなってずっと思っていて、恩人のために普通に死のうとするし、仲間を助けるために普通に死のうとするし。

当時中学生くらいの私、「この人はいつか、オールブルーという夢よりも、自分を犠牲にして仲間を助けることが生きがいになっていそう」と本気で思っていた。

ええ、ええ、漫画のキャラクターに思いを寄せすぎるんですワタクシ。この宇宙や世界にいなくても、現実に存在していると思ってるからね。

そして近年。

なんかサンジといえば自己犠牲の優しい人になっていた。YOUTUBEのショート動画で「サンジさんはね……優しいんです」というブルックを見て驚愕ですよ。

何があった!?それは私しか知らないはず!!(そんなことはない)

と思ったら私の妄想が半ば真実になっていたことを知ったわけです。

先にも書いたけど、ホールケーキアイランド編のことね。今となっては、7,8年前のエピソードになっちゃいましたが、ずっとワンピースの業界から消えてたので、知ったのは最近。

というわけで、ずっとワンピース読み返したいなって思ってたんですよ。今回、念願叶って、ちゃんと読めて良かった。

というわけで、ホールケーキアイランド編はずっとニコニコして読んでました。雨の中ジッポライターを擦り続けてるの見ながら、ああおれは20年前からこれが読みたかったんやで……という気持ちになった。

しかもそこから、「助けてロビンちゃん!」ができるようになってて、やだ……私の妄想が作品になってる上に成長している……!!と感激してしまった。

ついでに心を失うかもしれない、という更なる曇らせからの、「もしおれが正気じゃなかったら、お前がおれを殺せ」ですよ。

私の妄想が作品になってる上に成長している上に、鬱展開のフラグまで立ってるわけですよ。

いやー、長く生きてると良いこともあるもんですね。生きてて良かったな。

正直、魚人島編が一発目でギャグなのか判別つかない鼻血で進むので、尾田先生サンジをどうしたいのだ……?と思ってたけど、読み通してよかったよ本当に。

そういえば、私の夢でなければ、数年前に尾田先生はサンジが嫌いなのでは?という旨のサンジ愛者の記事がバズった気がするんだけど、その方は今どういう気持ちでいるのだろう。

可能ならお話してみたい。

 

サンジのこともだけど、もう一つ読み返してよかったことがある。

読み返して気付いたんだけど、自分は親子関係のことで、随分ワンピースに救われていた。

ワンピースでは頻繁に血の繋がらない家族が描かれる。

特に記憶に残っているのは、やっぱりアーロン編のベルメールさん。

「口先だけでも親になりたい あいつら……私の子でしょ」はあまりに名シーン過ぎる。これ、アニメでやってた時、私小学生だったんだよな……。衝撃だった。

サンジとゼフもそう。ホールケーキアイランド編で、「お前は俺の父親じゃねぇ!」ってはっきり実父に対して言えてよかったね……。

チョッパーとDr.ヒルルク、Dr.くれはもそうだよね。「行っといで、バカ息子……」も良いシーンだよねえ。

子どもの頃って、家族と学校が、だいたい世界のすべてじゃないですか。

だからそこが、あまり良い言い方ではないけど、「終わってる」と、世界全部、丸のまま「終わっちゃう」んですよ。

でもね、私は、母親を別で作れたんですよ。

それは塾の先生で、別に生活の世話をしてもらったわけではないのだけど、そこは私の気持ちの問題でね。その人に教えられたことを守って生きるようにしたおかげで、私はある種、まっとうに育てた側面があるわけです。

親が「終わってる」なら、他所で親を作ればいい、兄弟でもいい、家族を作ればいい、というのを、割と私はまじで思ってるんですが、ワンピースはそこにかなり影響しているな、と思います。

「この世に生まれて、一人ぼっちなんて事は 絶対にないんだで!!」ロビンの回想でのサウロの言葉だけど、尾田先生はこういう言葉で何人もの子どもたちを救ったのかもしれないよな~などと考える。

作家というのはほんとうに凄い存在だと思います。

まあ、ワンピースはこの辺バランス感覚がめちょ優れていて、感動的な親子話(ロビンの母とか、ワノ国のおでんとか)もしっかりあるのが良いところだなあとも思います。

ただ、読み直すと、ルフィ、エース、サボという物語のメイン級三人が、血縁関係の無い兄弟であったり、作中屈指の実力者である白ひげの、財宝ではなく家族が欲しかった、という願いと団員たちの親父!という叫びにかなりのページ数を注ぎ込んだりしている様を見ると、尾田先生の信念のようなものもあるのかなと。

仲間と家族と血縁と、色々な描き方があるのが魅力的なんだよな。

 

そんなわけで、だらだらと語ったわけだけれども、実はワンピースの極致みたいに言われている頂上戦争編はべつに~って感じだった私です。

とりあえずエースが死ぬのはみんな知ってる頂上戦争編ですね。ここで私はワンピースにあんまりバトル求めてないことに気付いた。少年漫画向いてないぞ。

私はなんといっても魚人島とホールケーキアイランド編が好き。ドレスローザもいいよね。

それにしても105巻もあって全然飽きないのは凄い。

読み直すの大変な人は、61巻から読むのはおススメです。

そういえば、今の子どもたちも流石に、最初から全部読んでるわけじゃない子が多いみたいで、「ナミはなぜみかん好きなのですか」みたいなお便りが時々あるのが面白いですね。

そろそろ終わりに向っていくらしいんで、終わりまで一緒に迎えられたらいいなあ、と思います。

しかしほんとうに終わるのか?

ま、その時に飽きてたら、それはそれということで。