かみむらさんの独り言

面白いことを探して生きる三十路越え不良看護師。主に読書感想や批評を書いています。たまに映画やゲームも扱っています。SFが好き。

鉄道開業150記念JR東日本パスを使って、一人で東北旅行に行ってきたよ!2日目

鉄道開業150記念JR東日本パスを使って旅した2泊3日旅行記、2日目だよ!

まだ1日目を読んでいない方はそちらから読んでいただけると幸い。

e-nekomimi.hatenablog.com

さて、弘前観光からの八戸グルメ堪能のち、駅前の安いビジネスホテルで1泊。なんだか興奮してあまり寝られず、寝たり起きたりを繰り返しながら、朝5時半ごろ起床。

7時前にバスに乗る関係上、当然朝ごはんを楽しむ余裕はなく(素泊まりなのでそもそも食べられないし)、サッサと準備をして宿を後にする。朝ごはんはコンビニである。

田舎でもコンビニは24時間営業だ。日本の素晴らしさと変わらない美味しさのおにぎりを噛みしめる。夜勤の店員さんありがとう。

バス停が合っているか不安過ぎて、駅前ロータリーをウロウロ練り歩きながらバスを待っていると、時間通りにちゃんと来た。高校生らしき男の子二人と乗り込み、出発。

バスで軽く寝ようかと思ったけれども、知らない土地の風景って、なんでもないところでも妙に面白いんだよね。結局、ぼうっと窓の外を見ながら目的地まで来てしまった。

そんなわけで、最寄り駅まで車で約30分とちょっと、バスだと1時間くらいかかる地、十和田市です。めちゃ天気が良い。

芸術の街らしく、市内にはネコちゃんバスやトーマスバスが通り、休憩スペースがアート作品になっている。

このネコちゃん、昔友人と行った六甲ミーツアートでは常連のアート作品で、個人的にも思い入れがあったのでなんか嬉しかった。

まだ店も開かず閑散とした商店街を通りながら、本日最初の目的地、十和田市現代美術館へ。

おおお……雑誌やネットで見たまんまの姿だ……!

いやー、絶対来てみたかったんだよね。今回の旅のいちばんのメインといっても過言ではない。全然電車もフリーパスも関係ないうえ、バス代が結構高いのだけれども、まあ、自宅から新青森の往復で元は取れるチケットなので、行きたいところに行くのがいちばん良い。

しかし、時刻はまだ8時半になっていないくらい。美術館の開館は9時からである。バスの接続はどうにもならん。

だけれども、この美術館、屋外の無料スペースの展示がとても楽しいので、30分くらいなら余裕で時間を潰せてしまった。

平日だけあって、私以外には男性が一人だけしかいなかった。彼もおそらくはフリーパス組だろう。親近感。

水玉でおなじみ、大人気芸術家である草間彌生の作品。有名なのは直島のかぼちゃだと思うが、私の地元の十日町でも、大地の芸術祭がらみで展示されている。

草間彌生作品を見ていつも思うんだけど、狂気と親しみのコラボレーションの妙なんだよな。天才の世界観と凡俗な感性が混ざり合ってるから、割と田舎の変なところでもスッと馴染んでいく。

これはエルビン・ブルムのファットハウス。家も車が、生物のようにぶくぶく太ってしまっている、社会風刺的な作品。同じものかはわからないけれども、ウィーンでも展示されていたらしいよ。

家の中では映像作品も見られるらしいのだが、やっているのは美術館開館時間のみ。今回は時間がなくて楽しめず。次回またリベンジしたい。

このほかにも、でっかいお化けとか、でっかい蟻とか、色々ある。夜だけの作品もあるらしく、次に行くことがあれば、十和田市内に泊まってのんびり楽しみたいなあ。ちなみに今回はフリーパス効果で、宿は全部埋まってました。残念。

そんなこんなで、開館時間ぴったりに入館。観光客もちょっと集まってきて、一時的に混雑。さすがに有名美術館である。地方の美術館で、しかも平日に混雑するの、見たことないぞ。

この日は常設展に加え、企画展「名和晃平 生成する表皮」がやっていた。観覧料は1800円。受付をしていると、後ろから結構な値段するね、と聞こえてきた。まあ、国立西洋美術館とか、500円で膨大な量の常設展見られるからな……。でも、音声ガイドが無料なのは嬉しい。

さて、十和田市現代美術館といえばこちらである。でっかいおばちゃん。なんと、4mもある。

でもこのおばちゃん、写真で満足せず立体を見ることをお勧めする。造形の細かさがより楽しめるのはもちろん、角度によって怒っているようにも、悲しんでいるようにも見えるのである。

私も他のお客さんも、ついついおばちゃんの周りをくるくる回ってしまう。そしてなんとなく表情が曇る。人の人生について考えるというのはそういうものかもしれない。

ウォー、塩田千春だァー!この作家もまた人気作家ですね。森美術館でやってた展覧会、行こうとして行けなかったんだよなあ。

これは十和田湖に実際あったお船を使用しているらしいです。上を向くと真っ赤な湖の底に、一緒に沈んでいるよう。船を見ているよりも、天井を眺めている時間の方が長かったな……。なんともいえぬ神秘的な時間だった。

天井にアザラシ突き刺さってんよ~~~。なんだこれ?

と、これだけだと何も意味わからん作品。さて椅子の上に上がって、丸い穴から顔をだしてみると……ウォォォ……という。

めちゃくちゃ良い作品だったので、ネタバレはしないでおきます。アザラシ首ちょんぱとかじゃないのでご安心を。もしそうだったら一生のトラウマだったわ。

これもすげーんだわ。最初、遠くから見たら、綺麗な装飾だなって思ってたんだよ。でもな……。いや、皆まで言うまい。じっくり、よく見てくれ。現地で見ると、もっとショックです。

なんかショック過ぎて、この作品見た後、ずっと胸がどきどきしてました。

常設展でいちばん良かったのは、こちら。深夜の高速道路のダイナー。実際にソファに腰掛けることもできる。高速道路は延々と遠く続いているように見えるが、これは目の錯覚を利用しているらしい。

最初入ると真っ暗でふつうに怖い。この写真はiPhoneの夜景モードで撮ってるから明るいように見えるけど、実際はもっと、ぜんぜん、暗いのだ。

そろそろと歩いていくと、高速道路の仄かな明かりで、ようやく何かが見えてくる。どうやらテーブルとソファらしい、調味料が乗っていて、ここは暗く、誰もいない、ダイナーらしいことがわかる。高速道路が見えるが、車は全く走っていない……。

これは客がいないときに一人で入ると最高に良い。開館凸してほんとうに良かった。高速道路が見えたときにマジで息を呑んだし、座っていたら涙が出てきてしまった。

永遠に車が通らない高速道路と、永遠に注文を取りに来てくれないダイナー。まさに世界の終わりである。そういうのが好きな人にはガチでオススメ。

企画展も良かった。写真の撮りようがなかったのでこんな写真しかないけれども、特殊なオイルによって、泡?膜?のようなものが延々と作られていくのがメイン作品「生成する表皮」。ぼうっと見ていられる。

使用しているのがオイルだけなので、触ったらたいへんなことになってしまう。スマホを落とさないか不安過ぎて、へっぴり腰になりながら写真を撮っている私の影が映っている。

名和晃平は、昔リボーンアートフェスのポスターで見たシカちゃんが可愛いというイメージだったのだが、こんな作品も作っていると知れて良かったし、面白かった。

リボーンアートフェス、詳細に計画を立てていたのに、いざ行く1週間前に義父が亡くなり、行くことができなかった苦い思い出。今度行きたいな。

さて、他にもたくさん面白い作品があったが、文字数も多くなってきたので、この辺にしておく。こぢんまりした館内だが、インパクトのある作品がこれでもかと押し寄せてきて、全く退屈しなかった。というか、押し寄せ過ぎて脳がパニックなるレベル。休憩しながら楽しむべし。

別館には、金沢21世紀美術館スイミング・プールで有名な、レアンドロ・エルリッヒの体験型展示もあり、複数人で行くと楽しくインスタ映えできるので、そちらもオススメ。私ですか?自撮りしようと頑張った挙句、絶望しました。

カフェも広くてゆったりできるし、記憶が薄れた頃に、絶対もう一回行くと誓って退館。今日はこれからもう一つ行くところがあるのだ。

 

というわけで、最高なところに来た。かの有名な奥入瀬渓流である。

ほんとうは、バスもあんまりないし、バス賃がかなりかさむし、時間もかかるし、行く予定はなかった。八戸市美術館にでも行こうかなと思っていた。

しかし、なんかどうも、紅葉始まりたてで綺麗らしいとか、天気が良いらしいとか聞いて、うっかりバスの接続を調べてみたところ、やや強行軍だが行けるじゃんという結論になり、はるばる来てしまった。

まあ行きたいところに行かないで、後で後悔するよりは良いだろう。

しかし、バスは奥入瀬渓流の入り口まで。時間はまだ12時過ぎ。お土産屋さんなどがある近くで楽しんで帰るか、十和田湖行きのバスを待つか、レンタサイクルを借りるか。

レンタサイクルだろ。

何故か急にアウトドア心が芽生えて、貸出所へ。しかし電動自転車がスポーツタイプのものしかなかった。後には引けない。まあ、ロードバイク乗ったことがあるし余裕だろ……。

これが大失敗であった。

だいたい、十和田湖まで14キロあり、しかも上り!電動といえどかなりの運動だった。車もビュンビュン走っている。ふつうに自転車向きの道じゃなかった。そのうえ完全に私の身長に対してバイクが合っておらず、尻が痛い。尻の痛みは何日か尾を引いた。3日分の荷物が詰まったリュックを背負っていたのもきつかった。

そして滅茶苦茶寒い!東北の気候を完全に舐めていた。結構暖かい格好をしていたつもりだったが、自転車に乗るには寒すぎた。途中でウルトラライトダウンを着てなんとか凌いだが、それでも手がかじかむレベルだった。

しかも、私はこの時点でアップルパイしか食べていない。携帯食もない。お茶だけは買った。完全なおバカちゃんである。

しかし景色だけはべらぼうに良かった。ほんとうに良かった。最高だった。この滝とか疲労も相まってあまりに綺麗すぎて泣いた。

ただの道もめちゃくちゃ綺麗だし、

渓流は言わずもがな。あまりに最高な時間だった。

喉元過ぎれば熱さ忘れる……今となってみれば、まあ良い経験だったなとも思える。でも次は絶対に車かバスで行き、歩きで散策しようと決意。

そんなこんなで十和田湖にはかなり早く辿り着いてしまった。15時50分が帰りのバスだったが、14時過ぎには着いていた。

十和田湖まで行くと、紅葉が深まっているのと山が見渡せるので、また違った最高があった。散策したいが、もう体力がない。ここで無理をしては明日持たない。

ということで、ごはんを食べることに。

ヒメマスの天ぷらそば。温かいものを食べるだけでかなり嬉しい。ヒメマスも柔らかくて美味しかった。

その後、ちょっとだけ回復して湖周辺を散策する。湖の水がとても綺麗で、波立つとまるで海のようだった。

それにしても遠くに行くまでは無理!ということで、早々にレンタサイクルを返却し、室内でコーヒーを片手にバスを待つことに。

自分の体力の無さに辟易しつつ、さすがにこれはしょうがないだろうと思いながら、リュックを片手にうつらうつらしながら座っていた。そんなこんなしてたら、コーヒーをちょっとこぼして凹んだ。

帰りはバスの車内から、夕日に照らされた木々と渓流、滝をぼんやり眺めながら、もう眠くて夢心地。そこはかとない幸せに包まれていた。

そんなわけで暗くなっていく空を見ながら八戸駅へ戻り、またもや、はやぶさに乗りこむ。今度は盛岡駅まで行く。はやぶさは速いので一瞬だ。

さて……

やっぱこれだよな!

疲れた後のビール、身体に沁みました。普通のビールもあったけど、せっかくなので岩手のクラフトビール、ベアレンビールのクラシックで。これがスッキリした苦みで美味い!瓶もカワイイ!

そして、盛岡といったら盛岡冷麺でしょ!ということで、もはや説明の必要ない有名店ぴょんぴょん舎さんにて、冷麺と焼き肉のセットを頂きました。ぴょんぴょんするんじゃあ~(それは違う)

いやービールと一緒に食べる焼肉が美味い!旅先の一人焼肉最高!色々食べれなくてちょっと残念だけど、それはそれ!

www.pyonpyonsya.co.jp

盛岡冷麺、麺も当然美味しいんだけど、キムチとフルーツが妙に美味くて好き。今回は旬の梨が入っていてウマ!

昔夏に岩手旅行行ったときはスイカが入っていたなあと思い出す。別の店だけど、あれも美味しかった。

さすがに酒をたくさん飲むには疲れすぎているのと、明日がまた早いので、今日はこれにマッコリを追加するに留め、ホテルへと戻った。さすがにこの日はぐっすり眠れた。

いやあ、2日目もだいぶボリューミーな記事になってしまった。大変だったけど、行きたいところに全部行けたので、とても楽しい1日だった。こういう、詰め込み過ぎな旅行がやっぱり好きなんだよなあ。

しかし、十和田市現代美術館奥入瀬渓流、両方とも、季節を変えて、絶対もう一回行きたい場所だった。またそのうち青森行くぞ~!